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August 13, 2008

古い業界

<キリン・アサヒ ビール2強、アジア照準> 朝日新聞 asahi.com 2008年8月11日1時6分
  
 国内ビール市場が縮小するなか、国内2強のキリンとアサヒが海外戦略を加速させている。両社とも「食と健康」を掲げアジア・オセアニアに照準を合わせるが、数兆円規模の再編話が飛び交う欧米のビール大手と比べると出遅れ感は否めない。「2強」はどう対抗するのか。

■「食」に注力、M&A攻勢

 「ここまで合理化が進んでいるとは」。6月上旬、豪南部の都市アデレード。キリンホールディングスの松沢幸一常務は、豪ビール2位のライオンネイサンの工場を訪れてそう思った。

 キリンが46%出資するライオン社は、地元向けビールを製造。以前は品質に問題があったが、キリンとの協調で改善が進んだ。松沢常務は「この提携の経験は、アジアのほかの地域でも必ず生きる」。

 キリンは昨年、チーズやヨーグルトを扱う豪乳製品首位のナショナルフーズを約3千億円で子会社化。「国内ビール頼み」の経営から、製薬や食品など幅広い分野で海外でも多角化を進める。昨年買収した協和発酵などの技術力を生かし、「健康」を意識した商品を展開する方針。

 狙いはアジア、オセアニア。4日には、12年末までにさらに3千億円をビールと飲料のM&A(合併・買収)に投じる方針を公表した。

 焦点の一つがフィリピンだ。キリンが20%出資するフィリピン食品最大手のサンミゲルがビール子会社を分社化。タイやベトナムに展開するこの子会社への出資を狙う。加藤壹康キリンHD社長は「我々の今の海外拠点は『点』。もっと『面』で展開したい」と野心を燃やす。

 キリンは15年度までに、連結売上高3兆円(07年度は1.8兆円)、うち海外の割合を7500億円(同2700億円)に引き上げる方針だ。

 「もうじっとしていられない。いい案件があれば、借金してでも買収を進める」。アサヒビールの荻田伍社長も攻めの姿勢を隠さない。

 アサヒは、海外売上高を現在の約500億円から、数年で2千億円に引き上げる計画。利益の9割以上を稼ぐ酒類事業への依存体質を改め、飲料・食品分野の売り上げを約3割に伸ばす方針だ。

 「軍資金」は、07年から3年間で3千億円にのぼる手元資金だ。昨年はアサヒ飲料の子会社化などで約700億円を使ったが、残りはまだ2千億円以上ある計算だ。

 現在、アジアでは中国や韓国などでビール・飲料事業を手がけるが、次なる狙いは「ベトナムかタイ」(荻田社長)だ。

 ベトナムでは、国内最大手サイゴンビールアルコールビバレッジ(SABECO)への出資に意欲を見せる。政府の民営化方針に従って、株式売却が予定されている。

■欧米から「10年遅れ」

 「日本のビール会社の海外戦略は10年遅れた」。複数のキリン幹部は指摘する。世界のビール市場は、キリンの5~6倍のシェアを誇る巨大企業がひしめく。

 今夏、米最大手のアンハイザー・ブッシュは、インベブ(ベルギー)による買収提案を受け入れた。買収総額は約5兆5千億円。キリンHDとアサヒの時価総額を足した額の2倍以上だ。

 拡大のスピードも猛烈だ。90年、インベブの進出先はヨーロッパとアフリカのわずか7カ国。それが、04年のアンベブ(ブラジル)との統合などを経て、今では80カ国以上で同社関連のビールを販売する。南アフリカで創業し、現在、世界首位のSABミラー(英)も02年に当時の米2位のミラーを買収するなど、規模拡大にしのぎを削る。成長が見込めるアジアでも、欧米勢は現地の主要企業に続々と資本参加する。

 国内競争に明け暮れたキリンやアサヒに海外戦略を描く余裕はなかった。並行して、若者の「ビール離れ」や少子高齢化で国内市場は94年をピークに下落に転じ、07年は半分以下に縮小。今後の成長戦略を海外に求めざるを得なくなった。

 キリンHDの加藤社長は「欧米勢は(買収など)徹底した資本の論理で拡大する手法。我々は同じ思いを持ったパートナーを探し、協力していく」と違いを強調するが、欧米勢の巨大化の動きに日本勢はかすむ。

 アナリストは「海外のビール市場は欧州勢によって固められている。日本勢も買収で一気に大きなシェアを取れなければ、厳しい戦いになる」という。(五十嵐大介)

<亭主の独り言>

記事先のリンクだと日数が過ぎると抹消されてリンク先不明になってしまう当たり前のことに気づいた。

朝日新聞の指摘のとおり、国内における目先の戦いに勢力の大半を投入しているうちに、その競争の土俵自体がグラついてきて、他の土俵は既に外国勢力で固められていたというのが日本のビール会社の現状だ。

国内でも一般食品に比べ大手流通業への対応は20年遅れていると言われるビール業界だ。この「古い業界」は個々の企業だけでなく、業界全体としても変革が必要だと思うのだが、国内酒類という土俵での戦いは相変わらず激しさが衰えない。
土俵がグラつけば、一層そこでの生き残りをかけざるを得ないからだ。

こちらも簡単に土俵から去るわけにはいかない。むしろ土俵が限られるほど圧倒的に支配していなければ生き残る価値が無くなる。
しかし、グラついているところで激しく戦えば土俵自体が持たなくなる。そうなると生き残りもへったくれもない。
そんなジレンマを抱えながらも、生き残りをかけた戦いは続く。

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